院長直伝の健康心得

パーキンソン病

パーキンソン病とは、脳の黒質という場所にあるドパミン神経がドパミンを分泌できなくなることで、振戦・無動・筋固縮・姿勢反射障害の症状が出現して、ゆっくりと進行する病気です。日常生活に支障が生じます。

パーキンソン病の原因は、脳の黒質にあるドパミン神経からドパミンが枯渇することです。ドパミンの役割は動作の調節になります。人間が動作を取る時の脳内での伝達は、大脳皮質から運動筋肉に指令が伝達されます。この伝達前に、意図通りに動作が出来るように運動を調節する指令を出すのがドパミンになります。ドパミンは黒質でドパミン神経により分泌されて線条体に送られます。線条体から運動調節の指令が大脳皮質に送られる流れになるため、ドパミン神経が何らかの影響でドパミンが枯渇するとパーキンソン病が発症します。

パーキンソン病の症状は、振戦・無動・筋固縮・姿勢反射障害の4つが特徴です。パーキンソン病の診断基準としては、運動症状の確認と特徴的な非運動症状の鑑別を行い総合的に診断していくことです。運動症状の診断は、無動と振戦又は筋固縮のどちらか1方か両方が出現していることを確認します。姿勢反射障害はある程度進行した状態で出現する場合が多いため、診断基準から外れているようです。もし、初めの段階で姿勢反射障害があるときは、他の病気の関与を示唆するもので、似た症状が見られることからパーキンソン症候群と判断されるようです。また、他の病気が関与しているかどうかの鑑別として特徴的な非運動症状の鑑別が必要になります。パーキンソン支持基準と除外基準とに分けて鑑別します。パーキンソン支持基準では、鑑別方法の結果パーキンソンの症状と判断されるものとして「ドパミン補充療法で効果があった」・「臭いがなくなった」・「MICB心筋シンチグラフィーの異常」などを確認します。除外基準では、パーキンソン以外の判断されるものとして「薬によりパーキンソンに似た症状」・「3年以上続く下肢のみの症状」・「小脳の障害」などを確認します。結果として、除外基準以外である場合に運動症状と非運動症状を含めてパーキンソン病と診断されるようです。

パーキンソン病の進行度は、ゆっくりした進行を辿りますが、進行速度はそれぞれの人によって異なります。 進行の過程も発病すると片手又は片足から始まり、徐々に身体の正面から見て、N字方向とZ字方向に進行するようです。パーキンソン病の進行度を示す指標として、ホーン・ヤールの重症度分類(5段階評価)と厚生労働省の生活機能障害度分類(3段階評価)、MDS-UPDRSというものがあります。ホーン・ヤールの重症度分類は運動症状に基づいて日常生活の自立度を5段階評価したものです。厚生労働省の生活機能障害度分類では3段階評価で、ホーン・ヤールの重症度分類のⅠ段階とⅡ段階がⅠ段階、Ⅲ段階とⅣ段階がⅡ段階、Ⅴ段階がⅢ段階にあたります。これらの分類法では他の疾患に対しては考慮されていない評価のため、その部分を補正した評価法としてMDS-UPDRSというものがあります。認知状態、主観的状態、日常生活活動、客観的な行動など様々な部分を考慮していて、非運動症状に対しての評価が盛り込まれていて、より包括的な評価が出来るものだそうです。これらの分類法により数字が高くなるほど進行度が高いと評価されます。

パーキンソン病の治療には、薬物療法、機械装置を使用したデバイス補助療法、外科療法などがあります。これらの治療以上に必要な治療がリハビリテーションになります。薬物療法では、ドパミンと似た成分を体内に入れることでドパミンの効果を期待する「ドパミン系剤」とドパミンが減少する要因を抑制・バランスを取ることでドパミンの分泌促進を期待する「非ドパミン系剤」があり、ドパミン系剤にはL-ドパやパミンアゴニスがあります。L-ドパは、ドパミンをそのまま補充しても効果はないため、ドパミンが作られる元の成分であるL-ドパを使うことで効果が出てきます。しかし、効果が長時間持続するとウェアリングオフやジスキネジアが起こるため、長時間の使用はできません。パミンアゴニスは、ドパミンに似た作用を持つ物質でドパミン受容体作動薬と呼ばれ、ドパミンと同じ効果をもっています。作用時間はL-ドパよりも長く血中濃度を安定させるためウェアリングオフやジスキネジアが起きにくい。しかし、患者様により違いがあるため、徐放剤や貼付剤の使い分けで使用されています。

非ドパミン系剤では、MAO-B阻害薬・COMT(カテコール-O-メチル転移酵素)阻害薬・ドパミン遊離促進薬・抗コリン薬・ノルアドレナリン補充薬・ドパミン賦活薬・アデノシン受容体拮抗薬などがあり、ドパミンを分解する酵素を抑える効果やドパミンと他の伝達物質のバランスを取る効果により、ドパミンの分泌を促進させるための薬です。

デバイス補助療法は、症状の進行に伴い内服薬だけではコントロールできない状態の時に、刺激装置やポンプなどの「デバイス(装置)」を用いて薬物を管理するもので、薬の血中濃度を安定・ウェアリング・オフ・ジスキネジアなどの運動合併症を軽減することを目的に行う治療です。持続皮下注療法・経腸療法・脳深部刺激療法があります。持続皮下注療法は、カニューレと呼ばれる細い管を皮膚に留置して、チューブを通じてポンプで24時間持続的に皮下にお薬を投与する治療法です。経腸療法は、カセットに入ったL-ドパ製剤を、専用ポンプとチューブを使って薬剤の吸収部位である小腸に直接持続的に送り届ける治療法です。脳深部刺激療法(DBS)は、パーキンソン病が進行し、薬だけでは症状を改善するのが難しかったり、ウェアリングオフやジスキネジアといった運動合併症が重くなったりしたときに検討される外科療法です。 その他の外科療法としては、MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)があります。この外科療法は、ふるえなどの原因となっている脳の部分に約800~1000本の超音波を集束させて当てて温度を上げ、当てている部分を凝固させる治療法です。

リハビリテーションを行うことで、日常生活動作で介助を必要とすることが少なくなることが期待できます。また、日中に横になったり、座ったままの状態を長くしないだけでも、薬の効果があらわれ、効果時間が伸びる可能性があります。そのため、リハビリテーションは薬の効果を高めて、症状の改善のためにも必要です。 リハビリテーションには、主治医の指示の下で行いますが、運動療法では、身体の動作に必要な筋肉や関節の強化を行い健康な状態に改善・維持する目的で行います。また、作業療法では、日常生活では細かい動作などを取る必要があるため、生活の中で必要な動作を改善・維持する目的で行います。そして、・言語療法では、発語障害があることでコミュニケーションの取り難くさを改善・維持する目的で行います。 現在では、治療法の進歩で改善や維持が期待できるようになってきていますが、ドパミンの減少を抑制する治療法は確立されていません。しかし、近年では、IPS細胞や遺伝子療法により治療の可能性が広がってきています。

もし、パーキンソンの症状が気になる場合には、脳神経内科を受診することをお勧めします。

頚椎症五十肩肩こり/首こり更年期障害高血圧症低血圧症狭心症心筋梗塞、片頭痛、解離性大動脈瘤、肝臓疾患、胆石症、膵炎、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、視力障害、内耳・外耳などの炎症性疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心身症、うつ病、耳鳴り膝の痛み股関節痛ギックリ腰腰痛生命維持痛風尿路結石 など