院長直伝の健康心得
痛風
痛風とは、尿酸が身体に増えて、手足の関節などに尿酸結晶として沈着した結果に炎症を発生し、激しい痛みが生じる病気です。

痛風が起こる原因は尿酸値が高めになることです。その尿酸値が高い状態を高尿酸血症といいますが、この状態を放置することで、増え過ぎた尿酸が血液中から手足の関節などに尿酸結晶として沈着します。それを白血球が攻撃して炎症が発生して激痛になるのが痛風です。最初は、「ムズムズする」・「チクチクする」という感覚があり、ある日突然に、手足の関節などが赤く腫れ始めて激痛が出てきます。この痛みを発作時痛又は痛風発作といいます。痛みは1週間から10日程で治まりますが、再度痛みが出ます。痛みは繰り返され、徐々に痛み始める間隔が短くなります。更に進むと手足の関節部に痛風結節という瘤ができてきます。また、腎臓では腎障害や尿路結石が出る場合があります。最終的に重症の慢性痛風にならないよう放置せずに早めの処置が必要です。
尿酸が増えるのは「プリン体」の代謝量によります。プリン体は細胞の核酸を構成する化合物質なので、体内で生産されるものです。また、細胞を持つ生物に含有するため、食品としても摂取される物質です。体内で細胞のエネルギー代謝によりプリン体が分解されてプリン塩基になり、プリン塩基は細胞内の役目が終わり、血液にのって肝臓に運ばれます。肝臓で分解されて尿酸が生産されます。通常であれば、尿酸は腎臓に向かい濾過されて尿となり排出されますが、プリン体の過剰摂取などで代謝量が多くなると、尿酸が増え過ぎて処理できずに血液中に溜まります。更に多くなることで血液から手足の関節部に沈着し始め、白血球が沈着した尿酸を攻撃するようになり、炎症物質が発生して激痛が生じるようになります。
痛風になりやすい人は、尿酸値の高い人に多いです。また、生活習慣病の肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症などを抱えている人が多いため、動脈硬化・心血管障害・脳血管障害の可能性も高く、痛風との合併症が考えられます。また、尿酸値が高いと関節以外に腎臓に尿酸結晶が溜まりやすくなるため、尿路結石や慢性腎臓病などを合併しやすくなります。結果、痛風になった人は、関節以外に腎臓への影響や動脈硬化のリスク因子にも注意が必要になってきます。
痛風が男性に多い理由は、血清尿酸値が男性の方に圧倒的に高いためです。また、女性の場合は女性ホルモンの影響で尿酸は腎臓から排出されるため血清尿酸値が低くなるからです。しかし、女性も閉経後には女性ホルモンの減少により血清尿酸値が上がります。痛風発作は、血清尿酸値が7.0mg/dLを越える状態が数年間以上は続かないと生じにくいようです。7.0mg/dLになるのに平均的な男女では、男子が血清尿酸値1.5mg/dL上昇、女性では3.0mg/dL上昇しないと到達しないようです。なので、女性はなかなか高尿酸血症や痛風になりにくいといわれます。しかし、遺伝と環境が関係する場合には痛風になりえるようです。
痛風を予防するには、尿酸値を上げないようにすることです。痛風になる人の多くが複数の生活習慣病を抱えているため、生活習慣病の改善が必要となります。そのため、「食べ過ぎない」、「飲み過ぎない」、「軽めの運動」、「充分な水分摂取」、「ストレスを溜めない」に注意していくことが大切です。「食べ過ぎない」では、プリン体の多い食材(レバー・白子・エビ・カツオ・アジ・煮干し・シイタケ・など)を適度に摂らないこと。また、脂質の多い食事を減らすことです。「飲み過ぎない」では、多量なアルコール飲酒はしない。特にプリン体の多いビールなどは適度な量にすることです。「軽めな運動」では、有酸素運動が脂質やストレス発散にお勧めですが、激しい運動は、血中の水分量の減少が尿酸値を上げる要因があるため、尿酸値が高めの方は注意が必要です。「充分な水分摂取」では、体内の水分量が少ないと血液の水分が減少し尿酸値を上げるため、水分を充分に摂取すると良いです。最後に、「ストレスを溜めない」では、ストレスを溜めると尿酸値が上がりやすいため、運動や良質な睡眠などでストレスを軽減するようにしましょう。結論としては、バランスの良い食事を摂り、適度な運動により代謝を上げて、糖質・脂質・ストレスなどの軽減、体内の減少した水分量を充分に補給して体内に尿酸が蓄積しないようにすることが大切です。
痛風は、外反母趾・変形性関節症・蜂窩織炎・腰痛疾患などで下肢の痺れや痛みの症状が似ていて間違えやすいため、治療では専門医による判断が必要です。痛風発作の発症時に関節の中に尿酸結晶がどれだけあるかが確定されて医師の診断で検査結果のもと確定されるようです。
痛風発作が生じた時の対処方は、応急処置としては、「患部を高い位置に保持して患部を冷やすこと。」、「発作が起こった関節を安静にすること。マッサ-ジなどは禁止」、「禁酒」、また、応急的な鎮痛薬には、アスピリンは発作がひどくなるため使用しないこと。あらかじめ医師から処方された薬をご使用ください。まずは、症状がでたら「出来るだけ早く医師に受診すること。」がお勧めです。
痛風の薬と治療は、方針としては「炎症を抑える治療」と「尿酸値を下げる治療」の2つになり、痛風発作が出たら、まずは炎症を抑える治療になります。痛風発作治療薬としては、非ステロイド性抗炎症薬・副腎皮質ステロイド・白血球遊走阻害薬を使用して炎症を下げていき、炎症がなくなったら、尿酸降下剤で尿酸値を下げていきます。尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬とがあります。尿酸排泄促進薬は、腎臓に作用し尿酸が尿中へ排泄される働きを促進します。尿酸生成抑制薬は、主に肝臓でプリン体が尿酸に分解されるのを抑えます。また、痛風発作がなく尿酸値が高い方の場合には、合併症の症状を診ながら、薬物療法と生活習慣病の改善をしていくようです。
「痛風発作が起きた」又は、「血清尿酸値が7.0以上になった」時には、専門医の受診をお勧めします。
頚椎症、五十肩、肩こり/首こり、更年期障害、高血圧症、低血圧症、狭心症、心筋梗塞、片頭痛、解離性大動脈瘤、肝臓疾患、胆石症、膵炎、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、視力障害、内耳・外耳などの炎症性疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心身症、うつ病、耳鳴り、膝の痛み、股関節痛、ギックリ腰、腰痛、生命維持、痛風、尿路結石 など