院長直伝の健康心得
顎関節症
顎関節症は、「口が大きく開かない」・「口を開けると顎の関節が痛い」・「口を開けると顎に音がする」という3つの症状が起こる顎の病気で、頸部や顎周囲に痛みが出たり、肩こりなどを引き起こしたりします。

発症年齢は、10代後半より増えて、20~30歳頃がピークで女性に多く、高齢になるほど発症者が少なくなります。
顎関節の構造を「骨部」・「筋肉」・「関節円板」に分けてみると、「骨部」では、側頭骨と下顎骨とが関節しています。側頭骨側の窪みが下顎窩となり、下顎窩の前方隣の出っ張りが関節結節あになります。顎が閉じた状態では、下顎窩に下顎骨の出っ張った下顎頭がハマっています。下顎頭のすぐ下は下顎頚で、その下の顎が角張ったエラ部分に下顎頚があります。顎が開くと、下顎頭が関節円板と共に前方の関節結節まで滑ります。 「筋肉」では、咬筋は物を噛む時に使う筋肉です。咬筋は下顎角から頬骨弓に付着している筋肉で、物を噛む力は咬筋がメインで使われます。そのため、顎関節症の原因になる部分です。痛みは周辺部に生じ、「歯」「目」「耳」辺りや「こめかみ」辺りにも生じるため、頭痛にも間違えられるようです。側頭筋は挙上の動き+後方移動の動きで使う筋肉です。側頭筋は下顎枝・頭頂骨・側頭骨をまたがる鱗状縫合に付着している薄い筋肉で、口を閉じた状態を保つ筋肉です。痛みは、「歯」「側頭部」に生じ、片頭痛のような痛みがあるようです。 外側翼突筋は顎の前方移動に使われる筋肉です。内側翼突筋は顎を左右に動かす筋肉です。 「関節円板」は軟骨組織です。顎関節のクッション材の役目で、安定した顎の開閉を維持します。顎が閉じている時は下顎窩で下顎頭がハマり密着しています。顎が開くと下顎頭が下顎窩から外れて関節結節側へ移動します。関節円板は変形しながら下顎頭と共に移動して顎の安定性を維持しています。
顎関節症は顎関節を構成する骨・筋肉・関節円板・靱帯の部位の異常から生じます。 それぞれの異常から生じる症状は、顎関節部では、関節突起の変形などから「口を開けると痛む」・「口を開け難い」という症状が生じる。筋肉では、筋肉の使い過ぎから「顎の痛み」を生じる。こめかみに頭痛のような痛みを生じることもある。関節円板では、顎関節の上下間にクッションの役割があり、それが変形することで動きを維持していますが、関節から外れると「口を開けると顎に音がする」症状が生じます。また、酷くなると顎の音が消失して「口を開け難い」という開口障害を起こすようになるようです。最後に、関節靱帯では、「強く噛みすぎる」や「大きく開口する」ことで靱帯が捻挫のような状態になると「口が開け難い」・「口を開けると痛む」という症状を生じます。
顎関節症のケアは、下記の6つの要因が発症原因となり得るため、意識して減らすことで発症リスクを少なくするのによいです。 ① 日中に無意識に行なわれる上の歯と下の歯の接触させる習慣のこと。 ② 日中の動作で「頬杖をつく」・「ガムを噛む」・「爪噛み」・「片方の歯で噛む」・「猫背」 ③ 夜間の習慣で「歯ぎしり」・「うつぶせ寝」 ④ 精神的要因で「ストレス」・「緊張の続く仕事」 ⑤ 顎を打つ外傷 ⑥ 顎を噛みしめるスポーツや楽器 顎関節症は、セルフケアでも日常生活で不自由がない程度まで治癒は可能ですが、構造上のダメージは残存し、また、痛みや違和感、開口障害が慢性化する方もいるようです。その時は、医療機関の受診してください。
診断と治療としては、診断では、身体所見で口の開閉時に顎関節で「音の確認」と「開口の角度」の確認。顎関節を指で圧迫して「痛み」や「違和感」の有無。画像検査としては、レントゲン・CT・MRIがある。レントゲンやCTでは、顎関節の「骨の状態に変形があるかどうか」が分かります。MRIでは、「関節のディスクや周囲の軟部組織の状態」も評価できます。治療としては、セルフケア・理学療法・内服治療・マウスピースが一般的です。スプリント療法とは、スプリントは、特定の歯だけに接触が起きる状態を改善し、歯の全体を使えるように噛むために作られるマウスピースのようなものです。それを装着して顎関節症を改善させる治療で、マウスピースをはめることで、特定の歯だけに生じていた接触を、他の歯にも接触するように調整されるようです。治療期間は半年から1年ほどかけるのが一般的だそうです。 痛み止めは、鎮痛薬や抗うつ薬、顎の筋肉の力を弱める筋弛緩薬があります。
セルフケアとしては、日常生活で噛み締める要因を軽減することです。前記で「6つの要因をなくすこと」が良いことですが、日常生活でなかなか難しいとしたら、口を食い縛るような感覚があるとき、緩めておく時間を持つなどしてケアするなど心掛ける必要があります。また、側頭筋や咬筋のマッサージや口の開口ストレッチも有効です。症状が出ている時は、顎に負担のかかる食べ物は避ける。症状が強い時は、ほとんど噛まずに飲み込める食べ物がよいです。
顎を動かした時に、「口が大きく開かない」・「口を開けると顎の関節が痛い」・「口を開けると顎に音がする」という3つの症状が気になったら、まずは、専門医を受診することをお勧めします。
頚椎症、五十肩、肩こり/首こり、更年期障害、高血圧症、低血圧症、狭心症、心筋梗塞、片頭痛、解離性大動脈瘤、肝臓疾患、胆石症、膵炎、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、視力障害、内耳・外耳などの炎症性疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心身症、うつ病、耳鳴り、膝の痛み、股関節痛、ギックリ腰、腰痛、生命維持、痛風、 など